ONE HUNDRED
MEMORIEs

百人の百年の思い出

No.09

藤本 やすし

ギャラリー「ROCKET」主宰/アートディレクター 株式会社CAP

藤本 やすし

表参道に同潤会青山アパートがあった頃のことです。アパートの空き部屋を改装して「ロケット」という若いクリエーター向けのギャラリーを運営していました。当時同潤会青山アパートの裏庭には夏みかんの木が何本もあり、お隣のギャラリーさんは実った夏みかんをもいで、マーマレードを作っていました。表参道は所々に雑木林があって、まだまだ自然を感じる場所でした。ギャラリーでは音楽をガンガン流していましたから、クラブ感覚のギャラリーとしてけっこう若者に人気がありました。オープニングパーティーのある金曜日の夜はギャラリー内はギッシリ満員になりました。しかしギャラリーには誰でも自由に入れるため、パーティーフードを狙ってホームレスが何食わぬ顔で押し寄せ、対応にとても苦労しました。今では懐かしい思い出です。その後ギャラリー「ロケット」はキャットストリート、北青山、南青山と表参道界隈を転々としましたが、2016年に表参道ヒルズ同潤会ビルの3階に戻ってきました。ギャラリーの窓からケヤキ並木や道ゆく人たちがよく見えます。ここ約20年の間にラグジュアリーブランドのショップや人が増えています。表参道の誕生から100年、これからもずっとこの街を見続けてゆきたいと思います。